沼田康弘さんの友人のパン屋さんが訪ねて来る。3年ぶりだ。
3年前のちょうど今頃村岸宏昭展の最中だった。
映画「もんしぇん」のフライヤーを持って、沼田さんとふたりで来た。
かりんさんとの縁が繋がるきっかけである。
映画「もんしぇん」の音楽を、かりんと玉井夕海が演奏し、映画と演奏の
全国ツアー最初が、夕張と札幌からスタートしたのだ。
パン屋さんのKさんは、その時の事をよく覚えていた。
あの白樺の木の作品を創って、すぐ四国の川で亡くなったんですよねと言う。
それ以来の来訪で、しばしかりんさんの作品を見ながら、村岸さんの話が続いた。
明日のかりんライブには娘さんを連れてくるという。
記憶の結晶がここにもあって、時は一瞬にして光りだす。
昨日来た写真家のFさんは、かりんさんとは初対面だが、もう一瞬にして
フアンになったという。
彼もまた明日ライブに来るという。
クラシカルな青い車に乗るアフロヘアーの彼は、外見に似ず真っ当な剛の男
である。外見に似ずというのは、勝手な先入感で、実はこういう人ほど背広男より
はるかに剛直で素直な人が多いのだ。
以前、友人のTから娘が恋人といってアフロヘアーの変な男を連れて来たと相談
された事がある。
私は経験として、そういう男は意外といい奴が多いよといったら、後で、その通りだ
ったわと感謝された。
その点でいえば、村岸宏昭さんも似たようなもので、師であるふたりの教官は
一様に同じような印象を記している。
<ひょろっ、ぼさぼさ、よれよれ>(北村清彦先生)
<座敷童子型ズタボロ系の若者>(南聡先生)
と散々なのである。
まあ、人の事は自分でもいえない訳で、端から見れば私ももっとひどいもの
かも知れないわけで、<ムスッ、ブアイソー、コワイ>ってなことかもしれない。
若者では決定的にないのが事実だから、もっと手に負えないのだ。、
かりんさんは、どんどん作品を描き増やし、時々来る人に演奏を聞かせ、
気分転換をしている。音が絵になり、絵が音になって会場を埋めている。
そのパワーは、12絃筝を25絃筝に改造した事を納得させるものである。
従来の絃数では溢れるものが御しきれないのだ。
内から溢れるものが、外観をも変えていく。
そんな現象が、人の外観にも楽器にも顕われて来るのかも知れない。
*中川かりん展「かりん」-12日(日)まで。am11時ーpm7時
:12日午後6時~かりん25絃筝ライブ・入場料1500円
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503