陽水の古いカセットテープを聞きながら、ふっと何かを感じていた。
陽水のお父さんが最後に訪れた故郷の事だ。
四国の高知の田舎という話だ。
その場所を聞いて何かが触れていた。
そんな時沖縄のチQさんこと平野貴弘さんから電話がくる。
今日から始まる彼の個展の話かと思ったら、違う。
沖縄在住のさとまんさんという人と昨日会って、
村岸宏昭さんの話を夜遅くまでしていたと言う。
さとまんさんという人は、高知でよさこいに参加し、
一度だけ村岸さんと一緒に踊ったという。
その後村岸さんは高知の川で遭難死するのだが、その一度の出会いを
今も忘れられずにいるという。
チQさんが札幌と聞いて初めて昨夜村岸さんの話をした。
そして昨夜遅くまで話したというのだ。
さらに話のきっかけは、チQさんの個展がテンポラリーで始まるという事だという。
後程チQさんが送ってくれたさとまんさんのブログで、それは次のように記され
ている。
・・・テンポラリースペースだということがどんと来たのだ。村岸くんが愛した場所
テンポラリースペース。繋がった。チQさんは村岸くんの親友だった。
生きていた時と村岸は少しも変わらない。
いつも彼は、すっと人の集まりの中にいた。
後で気付くのだ。村岸いたんだよな。
古い陽水のカセットテープを聞けるのも、
同じ友人だった佐々木恒雄さんのおかげである。
網走に帰った佐々木さんが、このカセットデッキを残してくれなければ、
井上陽水の古い録音を聞くこともできなかった。
そして最後の個展となったフライヤーの印刷は、
酒井博史さんの活字印刷によるものである。
その酒井さんてん刻ライブ展で、私は何度も酒井さんのお母さんも含めて、
陽水の父親鎮魂の語りと唄を聞いていたのだ。
高知の田舎で・・という陽水のその語りを聞きながら、
その地名の響きに、どこか長身の青年の姿が、私の心を横切っていたのは
事実である。
だから、やっぱり来たのだ。彼はいつもそうだった。すっと、近くに居た。
チQ展69枚のポストカード。きらきらとどれも美しい。
チQさんの心の<まちぐぁー(市場)>が光に跳んでいる。
額装を手伝ってくれた黒田晃弘さんが、ビューと感嘆する。
ポストカードという小さな、しかし一番個的な空間にぎっしりと彼の沖縄が踊って
いる。これはそのまま村岸さんも含めたみんなへの葉書でもある。
額付きでどれも3000円。机上に太陽を・・。
そんなキャッチコピーが浮かぶ。
*チQ沖縄からのポストカード展「まちぐゎー69」-6月9日(火)-21日(日)
am11時ーpm7時:月曜定休・休廊
テンポラリースペース札幌市北区北16条西5丁目1-8斜め通り西向
tel/fax011-737-5503